素っ気ない華

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この街、夜船市(よるふなし)の中心近くに位置する高校―― 深奈月中央高校。 夜船市に住むだいたいの少年少女はこの深奈月中央高校に入る。 規則は厳しいわけでもなく、規模こそ大きいものの、普通の高校だ。 深奈高と略す奴が多い。 で、夜船市に住む俺と魅姫も当然のようにこの高校に通っている。 「今朝はなんだか周りが騒がしいな暁夜」 「そうだな。絶世の美男子美少女が黙々と通学して来たのが理由ってわけでもなさそうだし、何があったんだろうな?」 俺と魅姫が一緒に登校するというのは、最早この高校の常識であり、いちいち騒ぐ奴らはいない。 当初は俺も魅姫も質問攻めに告白の嵐。 お互いに全部断ったのが疑われたのか、みんなの中で俺と魅姫が付き合ってるってことになってしまった。 ちなみに、魅姫は知らない。 魅姫本人はパッタリと無くなった告白に違和感を感じているようだ。 俺はどうでもいいが。 「美男子美少女っていうのは面白い冗談だな」 「案外本気だぞ? まぁ、俺が美男子っていうのは過大評価だが」 「それを言うなら美少女っていうのも過大評価だろ? 私はそんな嘘には引っかからないぞ」 自慢気というか、どことなく、勝った…、みたいな雰囲気を醸し出しニヤニヤと口元を緩める魅姫。 「いや、魅姫が可愛いというのは本音だ」 サクッとそれだけ言い放ち、騒がしい校内に入った。
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