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高嶺の花ねぇ。
こういった時の華月の情報収集力というものは凄い。
ただし無駄に。
自慢気に鼻を高くしているあたり、つまりコイツはこういう奴なのだ。
「優越感に浸ってるなぁ」
「あら、悪い? 力の無い非力な乙女にとって、これほど有利な武器は無いと思ってるわ」
「なるほど。確かにそうだが、その非力な乙女の中にはお前も入っているのか?」
「当たり前じゃない」
ケロリとした表情。
どうやらなんの冗談でもないらしい。
ちなみに、この宝堂院華月、破壊の女神と一部の男子共に恐れられている。
繊細で華奢な女の子なのだが、威嚇でリンゴ潰すわ、上段回し蹴りで体育倉庫の扉をぶっ壊すわと肉体的なスペックは高校生男子のそれを軽く越えている。
「言い難いことだが、お前は非力じゃないと思うぞ」
「言い難いと言う割にはハッキリ言うわね……。私だって好きで運動神経バッツグゥーンになったわけじゃないわよ」
お前は運動神経バッツグゥーンと言うよりはケンカ最強の方が言い得て妙だぞ。
……。しかしまぁ、こいつは誰にでもこんな素っ気ない態度なのか。
色恋沙汰には興味がないって感じだもんな。
「なに? 人の顔ジロジロ見て」
「別に」
「あっそ。そろそろ先生来るし、私戻るわね」
華月は特に別れの挨拶を言うでもなく、手を軽く上げたあと、静かに窓際の席へと戻っていった。
そのタイミングを見計らったかのように――
キーンコーンカーンコーン
チャイムは鳴った。
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