序章 遠く呼ぶ声

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豊葦原の瑞穂の地に、 龍のまします中つ国あり。 天地に満つる八百万の神々 ことごとに恵みをたたえ、 水清く、実り豊けく栄えたり。 ここに異国の皇、 数多の兵を連ね 波の穂を渡りて攻め来たる。 中つ国の女王、龍神に祈れども、異国の剣にかかりて息絶ゆる。 宮は堕ち、国傾きて、龍黙せり。 これより中つ国に龍の声を聞く者なく、 荒ぶる神々さざめき わざわい満ちて、豊葦原は常夜の如くなれり。 人皆、天を仰ぎて願う。 黄金の光差す雲間より天つ鳥に乗りて舞い降りつる、龍神の神子の来臨を。
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