第壱夜

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それは人ではなかった。 鮮やかでボサボサな赤の髪。 満月を思い浮かばせる、光輝く金の瞳。 誰もが美しいと思うだろう端正な顔を楽しげに歪ませ、こちらを見ていた。 その姿を確認したとたん、男はガタガタと震え始める。 「し、し、し……っ!!」 「し?」 恐怖に体を震わせる男に対し、赤毛の男はなおも楽しげに顔を歪ませている。 その男に恐怖をぶつける様に、男は叫んだ。 「酒呑童子!!」 それは名をしめす言葉だった。
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