第壱夜

4/16
前へ
/32ページ
次へ
「なんだぁ、お前? 俺の事しってんの?」 知らぬ者などいないだろう。 ヘラヘラと笑っているこの男こそが、この盗賊団の ――――大江山の鬼達の首領なのだから。 恐怖に凍り付く男に対し、鬼の首領は口を開こうとした。 それに焦ったのは男だ。 酒呑童子の噂は京の都に轟かしている。 残虐非道として。 ″残虐非道″の名を欲しいがままにする、この鬼が自分を生かす理由など何処にもない。 ましてや自分は、この鬼が欲している荷を守る役目をにおっているのだ。 そんな存在など邪魔以外の何者でもない。 そんな自分にこの鬼は部下達に命令を下そうとしている! これほど明白な事はない。 この鬼は自分を殺そうとしている!!
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加