Red~我流~

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すばるが笑ったり、ぼけたりするたびに沙羅の鼓動は不規則に動いた 沙羅は優とすばるのやりとりを見ていることしか出来なかった 何を話し掛けたらいいのか?どうしたら笑いかけてくれるのか?全くわからなかった 優がいると余計に話せない感じもあった 優の電話が鳴り、店の奥に入っていった 今だと言わんばかりに沙羅は話し掛ける 「あっ、あの、この間は頭、大丈夫でしたか?」 「えっ!?」 すばるの眉間に皺が寄るが、すぐにパッと目が輝いた 「あぁ、あの日な。もう大丈夫やで」 「そうですか」 沙羅はほっとした 頭に支障がないことはもちろん、すばるが普通にしゃべってくれたことに安堵した 「心配してくれたん?おおきに」 「やっ!だって、すごい音してたし!痛そうだったし」 「そんなに痛そうなことないやろ」 すばるの笑い皺に胸が高鳴る 「すごかったんですって!」 電話を終えた優は楽しそうに話す二人を見つめていた すばるの、そして沙羅の初めて楽しそうに話す姿が微笑ましかった さて、どうするか?と優はタバコに火を点ける このままここにいるわけにもいかないし………悩んでいる目の前にいつの間にか沙羅が近づいてきていた 「店長、灰が………」 タバコを見ると灰が落ちそうになっていた 「あっあぁ。すばるは?」 「トイレです」 「そう」 タバコを揉み消すのと同時にすばるがトイレから出てきた その日は3人で夜が明けるまで笑っていた 沙羅とすばるが携帯の番号を交換しているのを優は見かけた
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