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重ねた肌の温もりはなぜ、夢にまで蘇るのだろう?
沙羅は思わず自分の肩を抱いた
寝汗が沙羅の体にいやらしく付き纏っていた
窓の外は太陽の光で眩しかった
もう随分、太陽の下を歩いていない沙羅の肌は病的な白さだった
過去の輝きを思い出させるような燦々とした太陽
携帯がチカチカと光ったことを沙羅は目の隅でとらえた
誰?
沙羅の携帯がなることはめったにないので、少しドキドキしながらそれを開く
メールが残っていた
あっ!と沙羅は頬を少し高揚させて、小さく驚きと喜びの声をあげた
『寝とる?今日、店に行けたら行く』
そっけないけど、会えることが嬉しくて、沙羅はさっきまで見ていた嫌な夢を忘れた
ベッドの脇に置かれたアイドル誌を手に取り、すばるの屈託のない笑みに癒された
今、誰も知る人のいない日本にいる沙羅にとって、すばるは唯一の人になっていた
恋とか愛とかじゃなくて、希望に沙羅は感じていた
言い聞かせているのかもしれない
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