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あぁ、まただ
ほら、また火が堕ちた
沙羅は高鳴る鼓動がすばるに聞こえていないか不安になる
頬が熱くなっているのもわかる
すばるにばれてない?
エレベーター内が少し薄暗いことに沙羅はホッとした
チンッとエレベーターはシャインのある6階に止まる
すばるは沙羅の存在がまるでないように、1人でスタスタと店の扉の中へ滑り込んだ
「あっ、いらっしゃい。待ってたよ」
すばるは優の顔を見て、小さくうなずいた
「あっ、沙羅も一緒だったんだ。おかえり」
「ただいま戻りました」
すばるはカウンターに腰を掛ける前に、手にしていた荷物を優に渡す
「あっ、悪いねぇ。ありがとう」
「別にえぇよ」
沙羅はすばるがカウンターに座るのを見て、慌ててエプロンをしてカウンターの中に入った
「あっ、沙羅。今日はもう俺一人でいいから」
「えっ?」
平日の今日は店内に客は一人のみ
「沙羅、うちで飲んだことないだろ。今日はカクテルの勉強ってことで、すばると一緒に飲みなよ」
「やっ、けど、お金もないし」
「これは仕事のうちだと思って。お金はとらないし。っていうか、とれないしね。隣に沙羅、いい?」
「別にえぇけど………俺の隣はめっちゃ飲むで」
すばるはニヤッと笑った
あぁ、こんな笑顔もするんだ、と沙羅は嬉しくなった
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