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沙羅の目に知らず知らず涙はたまり、瞬きとともに一滴の涙が落ちた
沙羅はこぼれ落ちた涙に驚き、今は泣いてはいけないという念に駆られ、天井を仰いだ
沙羅………私は沙羅
何度も言い聞かせるように、沙羅は『私は沙羅』と呟き続けた
なかなか戻ってこない沙羅を心配して、優がひょこっとスタッフルームに顔を出した
「沙羅?傷はどう?」
沙羅が振り返ると、眉を歪ませた優がいた
「あっ、大丈夫です」
沙羅はいつもの笑顔で答えた
「そう?じゃぁ、洗い物、いけそう?」
「すみません。すぐに戻ります」
さらに笑顔で受け答えをする沙羅に優は安堵の笑みを浮かべ、その優の笑顔にまた、沙羅はほっとした
大丈夫、大丈夫
まだ、私は沙羅でいられる………と
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