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沙羅は決して男に見えるような女の子じゃなかった
面接時に今、自分が置かれている状況を話した
家がない
お金がない
親は一緒に帰ってきていない
なぜ自分だけ急きょ、日本に帰ってきたのかはわからなかった
準備をすでにされていたスーツケースとパスポート。それにチケットと日本円札が数十枚
ホテル住まいをしていたが、すぐにお金はつきた
冷静に自分の置かれた状況を判断する
働かなきゃ、と
そこで、まるで沙羅を待っているかのように張り出されていた『シャイン』のスタッフ募集の貼り紙
トリップしている沙羅に優は話し掛ける
「あっ、うち、どうしても男子スタッフじゃないといけないわけじゃないから」
「?」
「あぁ、うちね、一応、アイドルが飲みに来るんだよ。だから、女の子は断ってたんだけど、君は大丈夫そうだ。ただ、きついよ。バーの仕事は」
優しく笑った優の目に初めて肩の緊張が解れたと沙羅は感じた
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