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彼はそぉっと私を連れだし一人で遊び始めた。
弾む私を彼が追いかけてはまた抱き締める。
また弾んでは受け止めてくれる。
今、この世には彼と私の二人きり。そんな雰囲気を夏の海は作りあげていく。
水しぶきは私と彼を濡らし、その塩辛さに彼はしかめっ面を見せた。
ころころ変わる表情に私は魅せられては恥ずかしくなって離れてしまう。
彼は何処までも私を追いかけては笑顔を見せる。
本当に私といる事を楽しんでいてくれているみたい。
売れ残った私だけど、今はこんなに必要とされていた。
遠くから邪魔な声が聞こえてくる。
『こら~!!遠くに行っちゃ駄目でしょう!!』
彼は私を抱き締めて渋々と彼女の元へ帰っていく。
落ち込む事は無い。二人きりの時間はまだ始まったばかり。
私は彼に大切にされている。
『貴方この子と遊んで来て。私は日に焼けたくないし、荷物を見張るわ。あっ。危ない場所には行っちゃ駄目よ!』
『『は~い。』』
私を抱き締めたまま彼はまた走り出した。
二人の男性に振り回されながらも、私は幸せに引き込まれていった。
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