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すでに空は青色に変わり始めていた。
しかしまだ完全な青色ではなく、全体としては黒に近い状態だった。
僕は木の上で少し休憩をしていた
迂闊に下を見ない限り、恐らく『攻め』と目が合うことは無い。
僕はそのまま深い眠りの中に誘われ、連れて行かれた。
目が覚めたとき、空には太陽が上っていた。
木から落ちるはずなど無いのに、落ちていなくて良かった、と安心した。
それにしてもこれからは、敵に見つかりやすくなってしまう。
いや、しかし逆に言えば僕も敵を見つけやすいのである。
とにかく、しばらくはここに居ても安心だろう
少し下を見下ろしてみる。敵はおろか、味方さえも姿を見せなかった。
僕はもう一度眠りの中へ入っていった。
「はぁ…はぁ…」
まさか、こんなに早く敵と遭遇するなんて…。
椎原は自分の足の速さを褒めた。
敵と遭遇してしまったが、何とか逃げ切ることが出来たのである。
しかし、彼の頭の中には、疑問があった。
確かに、目が合ったと思ったのだが……椎原は数メートル先に居る敵と、確かに目が合ってしまった。しかし、爆発はしなかったのだ。
「もしかして、これって…」
椎原は乱れたままの呼吸を少しずつ落ち着かせていった。
「制限があるのか?」
爆発するのは、決められた範囲内で目が合ってしまったとき。
椎原はその事実を発見した。そしてすぐに、仲間に伝えようとした。
その時である。
「畜生…あの餓鬼、どこに行きやがったんだ」
説明をしていたあの男の仲間とは思えない口調をしている。あの男の方がまだ丁寧だった。
椎原はそう思いながら、身を潜める。
そして、心を落ち着かせようと、目を閉じた。
-END-
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