-序章-

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僕は今年で十六になる。 高校一年生になって早くも半年が経った。 入学当初は、あの有名な進学校に入れた、と喜んでいたのだが、今となると勉強に追いつけないところがあり、転校したくなっている。   この学校は本当に真面目な人間しか居なかった。 家でも学校でも、どこに居ても勉強のことを考えているような人たちがこの学校を占めている。最初の頃は僕もそうだった。 勉強でしか頭をいっぱいにすることが出来なかった。 しかし、今となると、何故こんな学校に入ってしまったのだろう、と後悔することが増え、勉強に対しての意欲も失せてきている。 この学校を目指していた理由は、実に単純だった。好きなあの人が目指しているから。そんな極めてどうでもよく、真面目な人からしては論外な理由だったのが、その理由は他の何よりも僕を熱くさせた。 毎日五時間は必ず勉強をしたため、僕の成績は二学期中盤から有り得ないほど良くなった。 いつの間にか、好きな子よりも頭がよくなっていた。     -END-
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