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僕はその時、嫌な予感がしたのだ。
そしてその予感は、見事に的中した。
僕は運良く、その高校に入ることが出来た。が、彼女は落ちてしまったのだ。
そして、僕がこの学校を目指す前に目指していた高校に、滑り止めとして受験していたので、入学した。
僕は入学式に出なかった。
小さなことだったが、十五歳の抵抗としては最大限のことをしたつもりだった。
屋上で授業をサボっていた。
たった今チャイムが鳴る
「桜井、お前またここに居たのか」
神に見放された僕にも、仲間が居た。
「杉原はさ、何で授業なんか出てるわけ?」
彼も僕と同じ理由でこの学校に入学したのだが、これまた僕と同じく、好きな子が落ちたのであった。
「そりゃ、出なきゃ留年、最悪の場合は退学だからな。
せっかく苦労して入ったんだ。この学校で良い子見つけてやるんだ」
「そうか、前向きでいいな。羨ましいよ」
「そう思えるならお前も授業に出ろよな。そうそう、C組に可愛い子が居るんだよ」
僕は、彼に言われたとおり勉強に没頭した。
冬を向かえ、僕達は寒さに耐えながら毎日登校した。
あくる日もあくる日も、毎日勉強を続けた。そうすることによって、僕は余計なことを考えなくて済むんだ、とようやく理解したのだ。
杉原も、僕と同じように毎日勉強を続けた。冬になってから彼には、腹立たしいことに彼女が出来ていた。C組の周防だった。
多分、学年の誰もが認める可愛い子だった。
「桜井も頑張れよな」それが彼から聞いた最後の言葉だった。彼は彼女が出来て以来、僕との付き合いが悪くなった。
デートだの何だので、遊ぶ間など無かった。
仲間が居なくなったくらいで泣くことなど無かった…
僕はその日も、真面目に授業を受けた。
家に帰り、自室のテレビをつけると、最初にニュース番組が映った。
「今日未明、千葉にある森で変死体が見つかりました。死体の顔を鈍器で潰されてあり、誰なのかは未だに判っておりません。
なお、死体は首を折られ、足を何度も刺さされており、左肩・胸・腕に撃たれたあとがありました。
死体は様々な傷を負っていましたが、警察の発表では『過労死』となっております。このような死体は異例だそうです」
様々な傷を負っているのに、原因は過労。何かが変だった。
-END-
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