71人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふぅ…」
昼休みは大抵の人が教室に居る。
この学校は勉強するのが主な学校なので、体育館や外、ましてや廊下などで騒ぐ人はほんの一握りしか居なかった。
その一握りは、僕みたいな女目的で入学した人が半数、あとの半数は授業に出ていれば殆ど理解できると云った本物の秀才たちなのである。秀才の奴らは大抵がイケ面なのである。
神に愛された人たちなのである。
僕は教室に居るのも、体育館などで騒ぐのも気が乗らなかった。
屋上で一人、寝転んで空を見ていた。
「はぁ…」
口から出るのはため息だけだった。
そこで、事件のことが頭に浮かんだ。
異常者が殺したのだろうか。最後の最後までいたぶって、森の奥に放置し、帰らせる。被害者は足を引きずったり、腹部の傷を抑えながら必死で森を抜けることを考えて歩き続ける。しかし痛みや恐怖から夜も寝ることが出来ず、ずっと疲労がたまっていく。
そして結果的に森の途中で過労死する。
きっと被害者はそうやって死んでしまうのだろう。
僕は様々なことを考えているうちに、眠ってしまっていた。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
僕は何かから逃げていた。何故か足と肩を撃たれており、血がドクドクと出てきている。意識が朦朧とする中、必死でどこかに向かって走っていた。
夜の森、と云うよりは目を瞑った時に見える暗闇の中に居るようだった。
何も見えない。
自分で伸ばした手も、この先にある目的地も、何もかもが真っ暗で見えなかった。僕はその中で何故か走っていた。
「くそっ! 謀られた!」
僕は誰かを目で追っていた。
空中に飛んでいるよう感じだった。あるいは、空の一部になったような。
僕は上から誰かを見下ろしていた。
そしてその人を目でずっと追っていた。
「もう……来ていないのか?」
その彼が立ち止まり、後ろを振り返った。確かに彼の後ろには誰も居なかった。しかし、彼は大きな銃声と共に倒れこんでしまった。
-END-
最初のコメントを投稿しよう!