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-招待-
ただ僕は、それだけの感情を持っただけであまり気にしなかった。僕には関係ないと思ったからだ。
「まったく、何をしていたんだか」
ニュースは続いていた。
「なお、死体の着ていた服には免許証などの身元がわかるものは一切無く、拳銃が一丁と、招待状のような手紙が入っていたそうです」
その台詞を聞いた後、僕は歌番組にチャンネルを合わせた。
千葉と云うと、今僕が立っているこの県のことである。住んでいる県で変死体が見つかるというのは、あまりいい気分にはなれないことである。しかし僕の心臓は何故だか、いつもより早く動いていた。
「今回はこの六名を招待する」
男はそう言い、同じ部屋に居る別の男達に写真を見せた。
「千葉の名東高校一年、桜井高志。同高校三年、椎原信明。茨城の警察署勤務二年目の近藤太一。神奈川の刑務所留置中の新藤幸太郎。元プロボクサー、木村龍二。三葉株式会社社長ボディーガード、松戸裕太。以上六名を招待する。なお今回も『招待』のため、来る来ないは自由となる。だが…」
男達は彼の言おうとしていることを悟り、頷く。
「では、今回の会議もこれをもって終了とする」
「たかしー、ご飯だから下りてらっしゃい」
危うく寝そうになっていたところに、母が声をかけた。
もう夕飯の時間なのかと、僕は状態を起こし、自室を出た。階段で一度こけそうになるが、何とか踏ん張った。
夕飯を食べ終えると、もう眠くはなくなっていた。
「はぁー…」
わざとらしくため息をつくが、部屋に空しく響いただけだった。
テレビを付けようと、リモコンに手を伸ばしたが、あとちょっとと云うところで届かなかった。
仕方なく立ち上がり、リモコンを取り、テレビを付ける。
またあのニュースだ。
「えー、たった今入ったニュースです。変死体が発見された千葉県の森で、新たな死体が見つかりました。
死体は東京に住む堤洋介さんで、一週間ほど前から行方を暗ましていたそうです。
堤さんの死体は、昼の変死体同様、顔を鈍器で殴られたあとがあり、足などに撃たれたあとがありました。また、堤さんの着ていたと思われる服には招待状のようなものが入っていたと発表されました」
-END-
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