血まみれサンタ

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今日は一年に一度のクリスマス。トナカイの引くソリ、それに乗ったサンタというおっさん、そいつが子供達にプレゼントを配っていく日。それは夢物語、ただの嘘だ。サンタと名乗った親が子供にプレゼントをあげる日、と言ったほうが正しい。今年も俺にはクリスマスプレゼントはない。あるのは目の前に転がっているたくさんの肉の塊と、まるでサンタの服のように真っ赤な血だけ・・・。 またやってしまった。気にしてはいないが後始末がめんどうだ。ほっといてもいいだろうか、明日には誰かが片付けてくれるだろう。それより俺は、まだ止まらない疼きをどうにかしたい。街の方に戻ろうと歩き出す、気づけば一軒の家の前にいた。中からは子供と大人の声。声の数から三人位だろう。楽しいクリスマスを送っているようだ。時計は午後九時を回っていた。窓からカーテン越しに見えていた小さい陰が一つ消えた。そろそろ行こう。丁寧にインターホンを押す。これは俺流の礼儀だ、これからこの世からお別れする奴らへの。出てきたのは父親の方だった。見た目は・・・どうでもいい。 「あのどちら様でしょうか?」 なにか言っているが聞こえない。俺はただ無言で殺した。俺の服にはさっきまでこの家の父親だったやつの血が付いている。汚い・・・・。家に入ると母親が、恐ろしいものを見たような顔をしている。見られたか。俺には関係ない話だ。 「いぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 虫ように地べたを這いずりながら俺から逃げていく。めんどうだ、テーブルの上にあったナイフを投げてみた。みごとに当たった。でもまだ死にきれてないようだ。仕方ない、刺さったナイフを抜いて脳天に垂直にもう一度刺してやった。やっと死んだ。めんどうだった。奥の扉が開いた。子供が一人。まだ四、五歳ぐらいの子供だ。足元がおぼつかない、どうやら寝ぼけているようだ。 「どーしたのママ?なんでこんな所で寝てるの?かぜ引いちゃうよ?」 動くわけがない、いま俺が殺したのだから。 「おじさんだれ?」 俺に気づいたようだ。 「もしかして、サンタさん?!わーいサンタさんだ!ねぇプレゼントちょうだい。」 さっき母親を殺したナイフを脳天から引き抜く。もう心の疼きは消えていた。期待に満ちた目を見て、笑いながらナイフを振り下ろした。 メリークリスマス・・・・。
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