困難な配達

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建物に近寄ると、いくらか外観が解ってきた。 レンガ造りの大きな建物で、結構新しい。 入り口は階段を上がったところにあり、下は車庫や、倉庫になっている。 ラウは見上げながら階段を上ると、ドアの前にたった。 …郵便受けがない。 ラウはため息をついた。 凍るため息。 それから顔を上げると、蝶番をつかんで2、3度ノックした。 『…』 反応がない。 ラウはもう一度ノックした。 そこでようやく、 ガチャン とドアが開いた。 『…ん?』 出てきたのは男性だった。 男性は、出てくるなり、ラウを怪訝そうに見つめる。 『…どなたです?』 『郵便配達員のラウ・シグナと申します。 …手紙をお届けに…』 『ああ』 男性はラウの言葉を途中で取り上げた。ラウは口をつぐむ。 『手紙を届けに来てくださったんですね? 解りました。手紙は預かります』 男性の言い方はあまりにも適当だった。 ラウは男性を見据えた。 少し、カチンときていた。
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