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1987年2月27日
『おい、ラウはどこだ?』
郵便局長のダルダ・マークレイは怒鳴った。
その手には小さな封筒が握られていた。
『ラウ?ラウなら、さっきそこに座っていましたけど。
…うわ、もういない』
30才くらいの局員セイユ・ビーターは呟く。
セイユのとなりが寂しい景色を見て、ダルダはため息をついた。
『呆れた奴だ。
配達に行ったわけでもないんだろう』
『ええ。
配達の指示は出していません。』
二人はやれやれとため息をつく。
と、雪がごうごうと唸る音がして、ダルダは玄関を見た。
玄関には、雪まみれの青年が立っていた。
『ラウか。どこへ行ってた?』
ダルダが言うと青年はぱっと顔をあげた。
『僕のカバンが飛ばされてしまって…。拾いにいっていました。』
ぴしりと改まって言う青年。
この青年こそが、ラウ・シグナだった。
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