End letter～両手の記憶

手紙

ラウは新米の配達員である。
なぜ、新米が全ての配達をこなしているのかというと。
実は答えは簡単で、ラウ以外に配達員がいないからである。

『それにしても、人使いがあらいよな』

ラウは呟いた。
ラウはまた、降り注ぐ雪の中にいた。
雪は、さっきよりはましになっている。

…グランディス通り、223番地…

ラウは心の中で繰り返した。
雪のせいで、顔が痛い。
ラウはぐっと背伸びをし、そして息を吐いた。
凍る息。

…そして。

『…ここだ』

ラウは呟いた。そして、建物を見る。

雪でよく見えないものの、思ったよりも大きな建物だった。