148人が本棚に入れています
本棚に追加
奥様が怒るのも無理はありません。
奥様が旦那様のためにどんなに美味しいホカホカのお料理を作っても。
旦那様が疲れているだろうとタイミングをはかってお風呂を旦那様の好きな湯加減にしておいても。
旦那様は選んでくれないのですから。
旦那様が奥様を食べ終わった頃には美味しいご飯も冷たくなって、お風呂も冷めてしまっています。
それに旦那様は結構な体力をお持ちになっているので一回では許してもらえず、奥様が意識を取り戻す頃には夜があけてしまっているのです。
「まずくなったご飯をあとで一人で食べる僕の気持ちがわかりますか?!」
奥様はとうとう泣き出してしまいました。
「きょ…や、さんっは、僕がいつも…ひっく…どんな気持ちで…」
ボロボロととめどなく出てくる涙は拭っても拭ってもあとからあとから零れてきます。
「ごめん、ごめんね骸。僕が悪かったよ。」
オロオロとあわてふためきながら旦那様は奥様を抱きしめて、優しくそっと背中を撫でてあげながら言いました。
「僕は骸が恥じらいながら言うのが可愛くてどうやって食べようか考える事に夢中で骸の気持ちを考えてなかったね。」
ごめんねごめんね、と旦那様は繰り返し繰り返し謝ります。
ようやく奥様の涙がとまったころ、旦那様は指をたてて一つの提案を奥様に出しました。
「ねぇ骸。明日、もう一回あの台詞言ってくれない?」
最初のコメントを投稿しよう!