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初めて会った君は美しくて。
気高くて。
自信に満ちていた。
世界に絶望していて。
目的には手段を問わなくて。
人に冷たい印象をうけた。
むかつく位余裕の笑みで
僕なんか眼中にない態度があまりにもカンに障ったから
僕だけしか考えられないように
絶対に泣かせてやろうと、そう決めた。
なのに。
「どうしてまたこうなのさ……」
「クフフフ、何がですか雲雀君。」
「君を鳴かせるのに失敗した事を悔やんでるの。」
「いい加減諦めればいいのに、」
「うるさい黙れ」
言うと同時に隣で楽しそうに笑みを浮かべる男を横目で睨みつける。
おぉ、怖い。と肩を竦める骸に余計腹がたち、頬を抓ってやる。
こんなはずではなかった。
当初の予定ではこの生意気な相手をズタボロに殴り飛ばしたあと、気を失うまで組み敷いてやるつもりだったのに。
それなのに結果は雲雀の負けで。
鳴かせるつもりが鳴かされた。
つい今しがたも気を失うまで鳴かされてしまったわけで。
気に入らない、と雲雀は呟く。
「どうして僕が下なのさ!」
「ひょんなほとよりはなひへくらはひ…」
痛い痛いと涙目で喚く骸にようやく手を離してやれば、酷いですと両手で頬を押さえながら訴えてくる。
その様子が思いがけず何よりも可愛いと思ってしまい、鳴かせたい衝動にかられた。
「雲雀君が可愛いから、僕は君が抱きたいんです。」
「僕が可愛いとか意味が分からないよ。君、視力計り直した方が良い。」
「あいにく、目は良いんです。」
「なら頭がおかしいんだね。」
「雲雀君が好きすぎておかしくなっているのかもしれませんね。」
最近雲雀君のことしか考えられないんですよ、と呟く骸にあっそ、としか返せない。
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