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もう少しで新年が開始するというところで、待ち遠しいと感じる今日この頃。
僕はギルドの任務を完遂したので、暇つぶしに近くの木に寄りかかって休憩していた。
ところでギルドというのは、そうだな……簡単に説明すると、〈仕事をする所〉かな。
実際のギルドには、手工業者やら商人やらマイスターやらがあるようだが、僕は知らない。
ちなみに、ギルドというやつは自分で仕事を選べる。
派遣社員が自分の水準に合った仕事場所を選択して、許可が出たらそこに行く感じ。
まあそんなことはどうでもいいか。さっさと戻るとしよう。
「門倉ジトの所在を確認したいのですが」
僕はギルドに戻ると、先に出発していた奴の居場所を調べようと、受付のお姉さんに話しかけた。
「只今お調べ致します」
受付のお姉さんは事務的に会釈すると、僕を見ながら機械に文字を打ち込み始めた。
実に見事なブラインドタッチだ。
僕は注視している事が恥ずかしくなってきたので、女性から目を離して機械の方を見ていると、
「あら、まだお戻りではないようです。おかしいわね」
眉根を潜めて機械の方を見た。
確かにおかしい。僕が任務を開始したのは約二時間前、とするとそれ以上ということになる。
「任務の名称と場所は」
僕が出来るだけ落ち着いた表情で聞くと、
「はい。任務はゾンビの駆逐と動物の保護で、場所はダフレイク森です」
受付のお姉さんも落ち着いて答えてくれた。
ダフレイク森か……特に強い魔物はいないが、確か人間型魔物がよく出没する場所だ。
群をなしたら相当面倒なことになる。
なんか嫌な予感がする。ってかこの予感は絶対的に当たっているだろう。
「わかりました。ありがとうございます」
僕は受付のお姉さんにお礼を言うと、すぐさま転移した。
待ってろよ。親父!
あ、報酬もらうの忘れた……まあいっか。
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