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「な~んかもう、疲れた。もうどうにでもしてくれ……」
ある鬱蒼とした森の中、男はここまでにもう数え切れない程の魔物を倒して来たが一向に数は減らず、遂に魔力も切れ先程まで自分の足のみで走り続けていた。
しかし、とうとう魔物に囲まれて、いよいよ万事休す。
この男に残された選択肢は、諦めて座り込むことだった。
魔物達はその男の方へゲヒゲヒと気味の悪い声を発しながら向かって行く。
この男は今夜の夕食にされるようだ。
魔物が男のもとに着いた。
男は先程から自分の家族の事を思っていた。
(あいつらは元気に過ごせるかな?
まああいつらなら大丈夫だな。
とにかく…悪い。先に逝く)
魔物は拳を振り上げた。
理解不能の奇声を発しながら殴りかかってくる魔物。
男は拳から聞こえる風の音を聞いて自分の死を直感した。
(じゃあな)
男は随分淡白に心の中で別れを告げると目を結んだ。
(ギャアアアァァァ!!!)
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