カフェ・キエフと丸田アパート

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 俺がこの店に通い始めた頃、俺1人だけがクリエイティブな肩書きを持っていなかったので、店主に職業を聞かれた時、咄嗟に「小説家」を自称した。  どんな小説を書いているのか、と聞かれて大分焦ったが、「頭の中にはほとんどの形は出来ていて、もう書いてしまえばよいという段階なのだが、未だ最初の一文を考えあぐねている段階」ということにしておいた。  店主は「完成したら見せて下さいね」と愛想笑いをしてさっさと自分の仕事に戻ったが、どうせ内心では俺のことをせせら笑っていたのだろう。  他の客がいない時に他の常連のことを馬鹿にするような事を言っていたのは他ならぬ店主自身である。先に述べた常連達の説明はほとんど店主から聞いたままの内容だ。
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