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私はいい加減探すのに疲れ、駅前まで戻って、一軒の寂れた喫茶店に入った。
その店は、けばけばしい格好の中年女性が1人で切り盛りしているらしく、私の他に客はいなかった。
私が席に着くなり、彼女は、どこから来たの、とか、何の用事で、とか、どちらにお住まい、とか、矢継ぎ早に質問してきた。
うっかり氷の壺のことを口に出してしまった為に、それについてさらに質問攻めにあった挙げ句、何の手がかりも得られないまま1時間近くこの女主人の話に付き合わされ、私はすっかり疲れ切って店を出た。
都会へ帰ろう。
あれはもう、見つかりっこないんだ。
私がここに戻る理由は既にないんだ。
そう思うことにした。
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