―ワイセツな夜―

3/93
19429人が本棚に入れています
本棚に追加
/291ページ
日射しは強かったが、4月の潮風はまだまだ冷たかった 海の上で揺れている遊覧船のデッキには、カモメが何羽も列をなして羽を休めている 港からはもちろん知床半島が見え、その雄大な大自然をまざまざと見せつけていた 乗り場から少し離れたところには、朝の漁を終えたと思われる小型の漁船が何隻も停泊している そんな風景が広がる中を歩く2人 杏奈はワァーっと声をあげながら、海を覗き込んだり停泊する漁船を見ていた 髪をかきあげて海を覗いたり、日差しを避けるようにオデコに手をあてて遠くを見たりしている杏奈の姿 そんな姿を見て何とも言えない幸せ感に包まれる喧太 世界遺産に認定されるほどの大自然が目の前に広がるのに、喧太は杏奈に見惚れていたのである
/291ページ

最初のコメントを投稿しよう!