―ワイセツな夜―

4/93
19429人が本棚に入れています
本棚に追加
/291ページ
さて、小型漁船が何挺か連(つら)なって停泊している場所を歩く二人 停められたトラックの運転席で、昼食をとっている人もいる 小型の漁船を1挺ずつ見ながら歩いていると、4挺目の漁船の上で4人の漁師が何かを取り囲んで雑談していた 杏奈 『こんにちわぁー』 まるで何かの旅番組のように、元気に挨拶をする杏奈 漁師さんたち 『おう!ざむぐねがぁ?』 (おう!寒くないか?) これがテレビの旅番組のように、漁師さんを仕込み、何度かリハーサルをやってから挨拶するならいいが、ガチの生本番である 普通の女が声をかけるなら何てことないだろうが、なんせ杏奈である 一緒にいるこちらとしては、あまり喜ばしくない場面なのは言うまでもない もちろんそのあたりは、ほかの奴としゃべるなよというジェラシーも含まれる そんな喧太の気持ちをヨソに、漁師達が乗る船に近づく杏奈 杏奈 『すこし寒いですね おじさん達は寒くないんですか?』 漁師さん 『ざむいなんて言っでだら笑われんべや まま食っていげねどっ どっがら来たのサァ?』 (寒いなんて言ってたら笑われるよ、ご飯たべてけないよ、どっからきたのさ?) 杏奈 『東京からです』 漁師さん 『んだべぇ こんなメンコイ女の子 おじさん見だごどねもっ』 (そうだろーこんな可愛い女をおじさん、見たことないよ) ナマリが強い漁師さんと、ひとなつこい杏奈の会話が弾む そんな中、気がつけばトラックで昼食とってた若い漁師も、2人の側に寄ってきたのであった……
/291ページ

最初のコメントを投稿しよう!