―高戸と喧太―

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ヤクザとは、親分から盃を貰い受け親子として固い縁を結び、そして親への忠誠を誓う 厳しい部屋住みや親分付きに耐え、行儀を見習い自分を磨く 礼節を重んじ、親や兄弟達の顔に泥を塗らないよう自分を慎(つつし)む 笑ってはごまかせない厳しい世界が、ひとりの人間を鋭くさせ更には強靭にしていく そのおかげで、どんな場面にも構える器ができ、たとえば警察の厳しい取り調べなんかを受けた時でも仲間を売る事なく1人罪をかぶる 何かと反目な組織との掛け合いでも、筋を曲げることなく自分を通す こうしてメンツを守りながら厳しい世界を渡っていくのがヤクザである だが、全てが厳しい訳ではなく不良でいて、エー!?ってなることもたくさんある たとえば、兄ィ達に頼まれる仕事である 嫌な仕事もたくさんあるが、おいしい仕事もたくさんある 嫌な仕事を一部紹介すると、殿方のシンボルを増大させるというマユツバな器具を3日以内に10台売りさばけ!とか… 歌の好きな縁ある方が歌手でもないのに自分で自主制作したらしいCDを、千枚売りさばけ!とかだ これがなかなか売れなくて苦労していた、この頃の喧太 見るからに不良が歌う、歌詞内容が理解不能なド演歌や、チンコ大きくしてどーすんの?と悩むような素敵な品々だ ジャパネット高田の社長が、金利当社負担!と甲高く叫んでも、売れないものは売れないのだ 売れなきゃ、もちろん自己負担だ この頃の喧太の部屋には、そうゆう品々がストックされ、両親や女が遊びにくるたびに、隠すのに苦労していた だが今回の仕事は、おいしい仕事の中の上等ビジネスだ なんせ預かる相手は、一目見ただけで男の理性を崩壊させ野生を刺激するイイ女だ そんな女と巡り会えたのも、高戸という男のおかげだ その高戸とは、この極道社会において、喧太が強く惚れこみ目標としていたヤクザである
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