第3章

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「千秋っ!」 登校早々、後ろから声をかけられる。 敬だ。 「はよー」 「はよーっス。 なぁなぁ、もーすぐ夏休みじゃん?」 「そうだね」 「でさぁ…」 「断る」 「何でっ!? 俺まだ何も言ってないじゃん!!」 聞かなくても判る。 「どうせ、合コンの誘いだろ?」 俺は、少し呆れ気味の視線を向けて 敬に言った。 敬は、女の子が好きだ。 暇さえあれば、合コンへ行き 暇が無くても、近くの女子を構い 俺や浩一と居る時意外は 常に女を侍らせている。 「いーじゃん、少しくらい。 お前、見た目良いし 来たら絶対モテるよ? ウハウハだよ?ハーレムだよ?? 男のロマンっしょ! つーか、何度も誘ってんのに 何で1度も来てくんないわけ?」 敬は、俺の冷めた視線も気にせず ここぞとばかりに畳み掛ける。 「ねぇー、何で?何で?」 「うるさいなぁ…」 「もしかして、女の子に興味無いとか?」 「………」 「まさか… 千秋ちゃん、ホモ……?」 「ぁ?」 その台詞に俺は、言い返しそうになって 寸前で抑えた。 ―‐…それは お前だろう…‐― 正確には『お前等』なのだが… 「止めろ、敬。 千秋が困ってるだろ」 そこへ、浩一が来て しつこく絡む敬を、俺から引き剥がしてくれた。 こいつが『お前等』の片割れである。
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