第3章

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「あっ、ごめん」 誰かが、自分の右肩にぶつかった。 「…いや、こちらこそ 大丈夫か?何か、顔色悪いけど……」 浩一がそう聞くと、ぶつかって来た相手は ちょっと困った顔をして笑った。 「…平気。よく言われるんだけど 顔色が悪いのは生まれ付きなんだ」 「…そうか、悪い……」 浩一が、すまなそうに謝ると 相手は、気にするなと言うように 片手を振った。 その仕草が、妙に大人びていて 浩一は、この相手に、ひどく好感を覚えた。 背は、自分の幼馴染みと 同じ位だろうか… 眼鏡を掛けていると言うのも あるだろうが 同じ大きさでも 幼馴染みと彼とでは、随分と印象が違う それは、そうだろう。 人はそれぞれ 性格も、趣味趣向も 違って当たり前だ。 それでも、時々 思ってしまう…… どうして、あいつだったのだろう……? どうして……… 「よっ、浩一。 隣の誰?俺、敬。高岡敬ね」 「っ!」 今、まさに 思い浮かべていた顔が、そこに在った。 高校入学式当日 自分達は、今日 高校生に成った。 中学の頃から秘めている この想いは いつになったら 消えてくれるのだろうか… 叶って欲しいとは、思わない。 叶う筈もない。 相手は 幼馴染みで、親友で…… 自分と同じ 男だ。
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