第3章

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「あー…疲れた……」 馬鹿な子ほど可愛いと言うが 2人も、となると 流石に面倒臭い…… 「だいたい、2人共あんだけ判り易いのに 何で気付かないわけ? ニブいにも程があるだろ…」 俺は、ブツブツ言いながら 自宅マンションのドアの前で 鍵を探して、鞄をゴソゴソあさる。 と、その時… ―‐…ピリリリ、ピリリリ…… 「あ。携帯…」 鞄あさりを一時中断し 尻ポケットから携帯を取り出す。 「…はい」 『どーも、いつもお世話になっております。 オメガヒットオフィスの シラキ 白木です』 「どーも」 『先生、まだ学校ですか?』 「や、今帰ったとこ」 『じゃあ、今大丈夫ですね』 「ん。何? 曲なら、注文分 もう出来てるけど」 『本当ですか! いやぁ~、先生はいつも仕事が速くて こちらも助かります。 じゃあ、今から伺っても?』 「どーぞ」 そこで会話を打ち切り 俺は再び、鞄をあさり出す。 俺は、自宅で ある仕事をしている。 それは、何かと言うと… 作曲家だ。 悪魔だって、稼がなければ 生活して行けないのだ。 それに、俺は高校へ通っているから 必然的に、金が必要になる。 だが、普通のバイトでは 他人との接触が多過ぎる。 そこで、自宅で出来る仕事を 探す事にした。 幸い、プロセルピナのお陰で 大抵の事は、苦もなくこなせるので 職など選び放題だ。 そして、俺が選んだのは…… ゲームやドラマ あと、映画なんかに使われる いわゆる 挿入曲を作る仕事。 つまり、作曲家。 これなら、漫画家や小説家みたいに 編集さんがしょっちゅう来る事も無いし 資料や、特殊な道具なんかも必要無い。 何より 時間を自由に使えるのが良い。 だって、俺には 大切な 日課があるのだ。
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