第3章

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―‐…ピンポーン 「……来たか」 俺は、読んでいた雑誌を 座っていたソファーの脇に置き 玄関へと向かった。 ―‐…ガチャッ 「どーも、先生」 「いらっしゃい。 ちょっと遅くなかった?」 俺は、白木を促して リビングへ続く廊下を進んだ。 「いやぁ~、実は 来る途中、美味しそうな和菓子屋さんが在ったもんで 買って来ちゃいました」 「白木君って、本当 甘いの好きだよね」 「先生もお好きでしたよね? 甘い物」 「まぁ、普通に」 この、白木と言う男とは かれこれ 半年程の付き合いになる。 俺が、作曲家を始めたのは 高校に入学する少し前。 白木の勤める オメガヒットオフィスと言う 音楽会社の社長が プロセルピナ (人間の振りをした) の知り合いだとかで…   ツテ その伝で、俺は今 この仕事をしている。 白木とは、それ以来の縁だ。 「はい、これ」 俺は、大きめの茶封筒を 白木に渡した。 中身は、依頼されていた曲の 楽譜と、それを演奏したものを録音したディスクだ。 「有難うございます。 さっそく、聴いてみても?」 「良いよ。そこのデッキ使って」 「それじゃあ、失礼して…」 今回依頼されたのは 来年の春から放送予定の ドラマに使う挿入曲だ。 内容を聞いた限り あまり、興味を惹かれない まぁ、いわゆる ラブストーリー物だったのだが 仕事は仕事。 先方の条件を満たす 作品を作れたと思う。 俺と白木は、俺の作った曲を聴きながら 白木の買って来た大福を食って 暫くの間 静かな一時を過ごした。
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