第3章

14/19
前へ
/346ページ
次へ
「…そろそろ行くか」 俺は、今まで寝そべっていたソファーから立ち上がると 電話台として使っている三段式の小さな洋箪笥の 一番上の引き出しから ある物を取り出した。 首輪だ。 飴色をした革で出来た 大層上等な代物だ。 犬用だけど…… それを、慣れた手つきで 自分の首に填めると 今度は ベランダに向かう。 大窓から外に出て、辺りに人が居ない事を 確認する。 次に カーテンを閉めたら 魔力を使って 窓にしっかりと鍵を掛ける。 そして ベランダの手摺りを乗り越え…… あ、言い忘れたけど 俺の住んでる部屋って 7階建てマンションの5階ね。 下へ、飛び降りる。 重さを感じさせない 見事な着地を決めて 俺は、地上へ降り立った。 そして、その時には既に 人の形をしてはいなかった。 瞳が翠で、それ以外は 全身真っ黒な コリー風の 中型犬。 毎日ではないが、週の半分以上は この姿で 俺は ある場所へ出掛けます。
/346ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5449人が本棚に入れています
本棚に追加