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チャイムが鳴ってからでは既に遅く、ガラッと前もって言われていた二年A組の教室の扉を開けると既にホームルームは始まっており、一気に注目を浴びた。
「転入早々遅刻とは…」
「す…すみません…」
注目は痛い物であり、静かな教室内はさすがお嬢様学校だと実感した。
大人しめに教室に入り先生の隣に並ぶ。
先生はコホンッと咳ばらいした。
「…改めまして、今年から親族のご都合により転入してきた、深山華澄さんです」
「よろしくお願いします!!」
気分を変えて…勢いよく言ってみたものの、室内はしーんと静まり返ったまま。
息詰まる中、華澄は指定された席に座った。1番後ろの1番端。窓側だ。
初っ端から失敗したなぁ…
華澄が何気なく空を眺めたその時、窓の下にうごめく何かが…。
「よっ…」
そのうごめく何かは窓から入り、今華澄の目の前にいる。
黄色い声が飛び交い、さっきの沈黙が嘘のように煩くなる。
確かここは女子校ではと思考を張り巡らせるが既に華澄の脳は停止仕掛けていた。
すると、目の前の彼(?)と目があった。
「あれ、君も同じクラスなんだ」
「涼様この方をご存知で!?」
「あー…さっき正面衝突した」
あながち間違ってはいないが…誰か説明をしてもらいたいくらいだ。
華澄はダンッと立ち上がって目の前の人物…涼の顔をマジマジと見た。
「説明して」
「何が?」
「だからこの状況を!!!」
わからないことだらけで頭が痛いんです!!華澄は嘆くと何故か数人のクラスメートがズラッと華澄を取り囲んだ。
「知らないなら私達が!!!」
「お教え致しますわ!!」
バックにBGMが流れるのではないかくらいの勢いで残りのクラスメートが涼を囲った。
「ここは由緒正しい名門女子校!!」
「男子禁制!!!」
「ですがいつかは殿方を迎え入れる身!!」
「ですからここ聖十字架学園は優秀な成績と美をを持つトップ5を!!!」
「プリンスとして崇めるのです!!!」
一人一人がキラキラと涼を飾っていき、説明していく。当の涼は呆れ顔だ。
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