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「そしてこのお方こそプリンスの一人!!」
「西園寺 涼(さいおんじ りょう)様なのです!!!」
説明し終わり息を切らすクラスメート達を華澄は呆然と見ていたが、やっと理解が出来たのかへぇ…と息を零す。
「何故ですの!?」
「え?」
突然華澄は指を指された。どうしてそう展開になるのか華澄はよくわからない。
「何故こうも魅力を説明したのに涼様に愛を抱かないのです!?」
ああ…と、華澄はさらっと答えた。
「だってそういうアイドル的なのあんまり興味ないから」
一気にクラスメート達は呆気に取られた。
「あああ有り得ませんわ!!!!!」
一人は悲鳴を上げ、一人は華澄の肩を揺する。
ガクガクと揺さぶられる中、華澄はしかたないじゃないかと言いかけたが、教室に入って来た人物によって皆が動きを止めた。
「みなさん、はしたなくてよ」
「生徒会長!」
皆は制服を整えだし、その人物に頭を下げた。
生徒会長…?髪は栗色で長く、巻髪が特徴のヘアスタイル。
この人もプリンスの一人かと思ったが、どうも違うらしい。
「プリンス涼、もう少し穏やかにしていただかないと」
「わぁったよ」
涼ははいはい、と軽くあしらうとスタスタ教室を出ていってしまった。
彼…じゃなく彼女は一体なんなんだろうと思いながらも、生徒会長の鋭い視線に唾を飲み込んだ。
「この聖十字架学園に入った以上、校則そしてこの学園ならでわのシステムを理解していただきます」
「は…はぁ…」
訳のわからぬまま華澄は生徒会長に手招きされ、教室を後にした。
「あなたは…華澄さんでしたね?」
「はい」
校舎内をゆっくり歩きながら生徒会長は尋ねてきた。
「わたくしは梅宮姫子(うめみやひめこ)といいます」
にこっと笑った彼女は早速足を止めた。つられて華澄が止まった先は、大きな学園の紋章が飾られた大きな広間だった。
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