559人が本棚に入れています
本棚に追加
「私立聖十字架学園は女子校、故に男子禁制…先ほど説明されましたわね。ですが男子の魅力を知らずに成人を迎えるのは少々問題があり、聖十字架学園は"プリンス"を選びあげました」
ゆっくりと歩きだし、広い廊下を進んでいく。
「成績優秀・眉目秀麗な生徒五人をプリンスと呼び、男性を学ぶ…これこそがプリンスのあるべき姿です。その一人が、先程の涼様」
恋い焦がれるように語る姫子の後ろを華澄はぼーっと歩く。
「残りの方々は…今日の歓迎会にわかりますわ」
「歓迎会…?」
何をするのだろう…?とはてなを浮かべる華澄。姫子は笑みを浮かべていた。
と、大事なことを忘れていたかのように姫子は振り返る。
「プリンスは年に一度プリンセスを選ぶんですのよ。一般人から見たらお付き合いというのかしら?」
「お……………お付き合い!?」
確かに涼を最初はカッコイイなんて思ったけど…女だと分かってはそれは有り得ないだろうという思考が働く。
華澄はそういった方向の思考を持ち合わせているが、というより同性愛のほうに傾向はあるが隠してきた身であり、若干の焦りも出る。
ドキッと胸を跳ねさせながらも、華澄は姫子の話を聞いた。
「プリンセスとなった方はプリンスに1番近しい存在。故に品格を求められます」
姫子はにっこりしたまま、華澄に近づいた。
「華澄さんも早くこの学園に慣れ品格を出してくださいね」
それは嫌みにも似た笑みで、華澄は背筋を凍らせた。
*・*・*・*・*・*・*
姫子と別れた後華澄は直ぐさま教室には戻らず、さっき教室から出ていった涼のことを思い出し屋上に行くことにした。
別にどうこうって訳ではないが、姫子があんなにも熱弁するくらいだから興味が沸かないはずはない。
迷路のような校舎をぐるぐる回り、やっとの事で屋上のドアの前にたどり着いた。
ドアを開けるとそれは広い屋上で、前の学校の何倍あるのやら…。
………と。
「……zZ」
何やらいびきのような音がする。辺りを見渡すと、ねっころがってる人が約一名。
華澄はそっと近づき寝顔を見た。
→
最初のコメントを投稿しよう!