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「綺麗…」
不覚にも口に出てしまい自分でもびっくりする華澄。
そのせいなのか否か、パチッと目を開けた。
「ふぁ……」
あくびをして上半身を起こし、華澄のほうを向く。
「あぁ……………………おはよ」
「もうそんな時間じゃないと思います」
寝ぼけも対外にしろと言いかけたが彼女がプリンスだと思い出し口を止める。
再び寝だそうとする涼を止めるように話を切り出した。
「挨拶まだだったですよね?私は「深山華澄」
あれ、私前に名乗ったっけ?
ハテナを浮かべていると涼はやっと体を起こし軽く屈伸をした。
「何で知ってるかって?だってボクが君の学費を支援してるからさ」
「………………え?」
ということはお母さんが言ってた人ってこの方だったんだ…でも待てよ…
華澄は頭をフル回転させた。
ということは彼女に自分の負担をかけていることになる。大量のお金が動いているとなると、華澄は少し青ざめた。
「ああああありがとうございます!!私の学費とかを支援してくださり…」
「ああいいって、ボクの財布で済むくらいだし」
何か違和感を感じるのは何故だろう…華澄は思った。
いや確実に"格差"を感じていた。セレブと一般人…居心地が悪い。
だがそんなこと口にすることは出来ず華澄は口を閉ざしていた。
すると涼は華澄の顔を指でクイッとあげた。
「暗い顔してちゃかわいい顔が台なしだよ?」
何故かその時の涼の顔が真面目な感じがして、華澄は今までにない沸き上がる鼓動に顔を赤らめた。
「あ」
涼は思い出したかのように小さく声を出した。華澄は首を傾げる。
「確かもうすぐあいつの歓迎の出迎えがあるからエントランス集合じゃなかったっけ?」
「えっ!!?そうなんですか!?」
知らなかったにしてもそんな事実があるとは…華澄は慌て出す。そんな華澄を見て若干クスッと笑い、早く行きな と華澄の背中を押した。
走っていく華澄を見届けると、涼はまた背伸びをする。
「……寝るか」
またごろんっと床に横になって目を閉じた。
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