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急がなきゃ…
華澄は廊下を走り…ではなく早歩きでエントランスに向かった。
と言っても華澄は迷っている。
(……エントランスって何…;;)
英語が苦手な華澄でした。
そこへ人だかりが目に入る。昇降口の方だ。なんだ昇降口の方だったのかぁ…なんて思いつつ急いでエントランスに向かう。
華澄がエントランスに着く頃には人だかりだった生徒達は規則正しく道の端に沿って並んでいた。
華澄も急いで並ぼうとすると、誰かが手を振ってきた。
「あいたいた!!!」
「え…?」
早くおいでと手招きしてくるその人は、どうやら華澄と同じクラスらしい。華澄はすぐにその人のところに行った。
「もぉ…心配したんだからね!
私は小林真里菜。よろしくね☆華澄さん…だっけ、私と同じ一般人だね♪」
ということは財閥の娘とか令嬢とかじゃないってこと?
華澄は少しホッとして、顔を緩めた。
すると真里菜はウィンクする。
「私は高校からだけど…いろいろ教えるから何でも言ってね♪」
「うん、ありがと☆」
初めての友達が出来たことだし、安心した華澄は突然のラッパの音に心臓をびくつかせた。
何事かと辺りを見渡すと、道の先に長いリムジンが止まる。
ガードマンらしき人が下りてきて、リムジンのドアを開けた。
中から出て来たのは長身の人物。涼と同じ制服…ということは彼女もプリンスの一人だろう。
「「お帰りなさいませ優梨様」」
優梨…明るいブラウンの少し長い髪。整った顔立ち。
モデルのようなスタイルに目を奪われた華澄は、不意に優梨と目が合ってしまった。
まっすぐな瞳が向けられ、華澄はすぐに顔を反らしてしまった。その時、優梨が少し笑みを零したように見えた。
回りの黄色い声が飛び交う中、校舎から来る人物達にも黄色い声が飛び交う。
その主は、優梨や涼と同じ制服を着た生徒。美しく長い黒髪のプリンスと、長い赤毛をポニーテールで結んだプリンスだ。
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