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「久しぶりですね、優梨」
「お久しぶりです、麗(れい)先輩」
黒髪を靡かせ、麗が少し微笑む。
「半年ぶりだね」
「あぁ…で。輝(ひかる)、あいつは?」
「さぁ…昼寝じゃない?」
赤毛を揺らし、輝は屋上の方を見る。優梨は飽きれ顔だ。
彼女らにとっては普通の会話なのだろうけど、回りの女子が煩い…。
若干耳を塞ぐ華澄。どこがいいのだろう…。
と、プリンス達の間に姫子が入ってきた。何やら話している様子。話が終わると、プリンス達は校舎へ戻っていった。
女子達のざわつきは止まない。
「ではみなさん」
姫子がどこからかマイクを持って話し出した。
「プリンス優梨が戻られましたのでホールに参りましょう!歓迎会の準備は調っております!歓迎会供に今年五人目のプリンスを発表致しますので心構えを忘れずに!!」
そっか、今はプリンスは四人しか居ないんだ…。
関係ないか、と思いながらも少し気になる華澄であった。
*・*・*・*・*・*
学園のシンボルでもある紋章が飾られた広場…さっき来たときは何もなかったのに、今はテーブルと椅子が並べられ料理が盛り合わされていた。
ほっかほかの友達・真里菜とホールに来た華澄は、みんなと同じように席に座った。
目の前にはフォークとナイフがある。…作法なんて知らないんですがι
「大丈夫だよ、見様見真似でやれば」
華澄の顔色を察して真里菜は言った。
少し気が和らいだところで、司会進行役であろう姫子がマイクを持って出て来た。
「皆様お待たせ致しました。プリンスのご出席です!!」
拍手喝采の後、三人が現れる。
先頭には麗、続いて優梨、輝と続く。
特別席に着席した後、優梨はある一点を睨み付けた。
「おいそこの大食い」
「あ゙?」
いつの間にかもちゃもちゃ料理を食べていたのは紛れも無く涼で。
場を弁えろ、と優梨の一喝。テンコ盛りの皿を持ち涼は優梨のところに向かった。
「ああ、帰ってきてたんだ。お帰り」
「貴様わざとだろ」
もはやこれはファンにとっては日常茶飯事らしい。いいのいいの なんて真里菜に説明され渋々納得する華澄。
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