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森の中を歩き回って
獲物を仕留めるのが俺の仕事。
今日も今日とて猟銃片手に
森へ入ったわけなのさ。
彼方に聞こえた少女の叫び
慌てて走ったその声の先に
赤いずきんの少女がひとり
ぽつんと座りこんでいた。
俺が何かあったのかと聞いてみれば
やけに甲高い声で
“おばあさんが狼食べられた”
としきりに言った。
後ろ向きで震える少女に
狼を退治することを約束し
森の入り口まで送ろうと
その肩に手を置いた。
ずきんの隙間から見えたのは獣耳
無害そうな少女に隠されてたのは狼
しかしもう、手遅れでしかない。
(―森に響く、狩人の絶叫)
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