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私は声と引き替えに
貴方の近くを歩く足を貰いました
深い海の底で
この気持ちを抱えて生きるのは
出来そうになかったから
穏やかな海の底で
静かに朽ていくのが宿命でも
それでも私は逆らいたいと思ったのです
姉達は髪と引き替えに
私を生かす手段を手に入れていました
この月照る水面で
その懐剣が心臓を貫くのを
祈る思いでいたのです
頬を一筋の涙が伝って
私は結局何もできなかった
姉達の元に戻ることも
ましてや自身を明かすことも
私の想いは泡になって
たくさんの気泡となるだろう
けれどはじける瞬間には
貴方と過ごした幸せの日々を
描いて儚く消えたいのです
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