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「なぁなぁ」 「…何?」 「俺が香水変えたの気付かねぇの?」 「はぁ?」 隣の席の原田裕也はあたしにそう尋ねた。 「みんな気付いてくれるのに塩田だけは気付いてくんないんだもん」 …ちょっとなんなのこの人? 仲いいわけじゃないんだからそんなの知らないっつーの。 ばかじゃない。 そう思いながら 「あたしは原田君の取り巻きの女の子たちじゃないの。だから原田君が香水変えたって関係ないです」 ため息混じりの呆れた声であたしは言った。 「ちぇっ。なんだよ、みんな気付いてくれたのに」 原田君はそれだけ言い残し、いつものように机に伏せた。 授業中はいつも寝てるのに今日はめずらしく起きてると思ったら…。 何を言ってんだか。
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