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「ふぅ……肉球が柔らかすぎるんだな…」
俺は萎びたタイヤの上に乗り、体をくの字に曲げて足の様子を伺う。
すると猫が一匹、対角の方向から鉄線をくぐって入ってきた。
白黒のネコで、白がベースに所々に黒の模様がある。右目の周りも、髪の毛を七三分けしたように黒くなっていた。
その猫もこちらに気付き、目が合うと白黒は「あ…」と小さく呟き、数秒動きが止まった。
次の瞬間に思い切り踵を返し、鉄線を華麗に飛び抜けると一目散にその場を駆け抜けて行った。
「なんだ…??ネコから見ると俺は変なのかな…」
自分の体を再度確認する。どこも変な所は……ってバカか俺は。ネコになってる時点で変だろ…
しかしまぁ、猫にどう思われた所で気にすることもない。今は疲れた足を癒して、人間に戻れるように前向きに考えるだけだ。
そんな事を考えながら足の裏にフーフーと息をかけていると、先程逃げた白黒が帰ってきた。
「アイツです!!ボス!!」
そう言った白黒の後ろには、灰色のスマートなネコと、ずんぐりとした茶色の猫がいた。
恐らくロシアンブルーと茶虎だろう。
「おう、おめぇか!?挨拶のなってねぇ奴は。」
ずんぐり茶虎が鉄線を慎重にくぐりながら声をかけてきた。
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