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「なぁー、シャッツー。俺はお前みたいな自由奔放な猫になりたいよー。」
俺達は自転車を止めて、シャッツの頭を撫でる。
シャッツは尻尾を振るだけで、あんまり鳴く事はない。
「猫に猫のなり方を聞くとは…なんて寂しい奴なんだ…」
大吾はヤレヤレと首を振っていた。
「シャッツはいつもココで寝ててさー。学校もテストもない。いずれ行く事になる会社も行かなくてイイんだ。贅沢だなー…」
俺はシャッツの頭を撫でながら話す。
シャッツは俺達に背中を向けながら、尻尾を2,3回左右に振るだけだった。
「シャッツにまで愚痴ってどーすんだよ。もう帰ろうぜ。」
大吾がそう言って自転車を漕ぎ出す。
「シャッツ、またな。」
俺と大吾はシャッツに手を振ってその場を離れた。
「あー、やっぱ猫になりたい!!テストやだー!!」
俺は軽い頭痛に悩まされながらも、自転車に乗りながら足をブラブラさせる。
「まだ言ってら…。ま、神ノ木 雄太君が猫になって人間に飼われたあげく、檻の中に閉じ込められる事を祈っているよ。」
大吾は手を挙げながらそう言って、十字路をスーッと右に曲がって行く。
「ちぇ…憎たらしいヤツ……じゃー、また明日なー!!ゲーセン行くとき連絡くれ。」
俺は声をかける。
「おーう、了解。」
大吾は敬礼をして返した。
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