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元木はこの事実を知っていても、きっと悪びれる事はなかっただろう。奴の理論から「彼が居るのに俺と付き合った方が悪い」と言うのだろう。それも一理あると思うが、それでも元木のプレーボーイぶりが許せなかったのだ。
やはり相手が元木の事もあり、梓と元木との交際期間は二週間とも持たなかった。SEXをした瞬間に梓は捨てられたのだ。
元木に弄ばれ、クズゴミの様に捨てられてから一週間が経ったある日、僕は梓に呼び出されたのだ。
話しの内容は本当に梓に取って都合が良い話しだった。梓は僕に泣きつき、再度元の鞘に戻ろうと哀願したのだから。
僕は甘いのだろうか、そんな梓の涙に根負けし、許してしまったのだ。
しかし一度溝が出来た関係が修復されるのはそう容易いものでは無かった。一度貼られてしまったレッテルはそう簡単に消える事はなく、信頼関係を失った僕達は、些細な事でも直ぐケンカの火種になったのだ。
僕の心が単に狭いのか、それともこの感情が通常なのかは判別付かないけど、この感情のせいで梓を許す事が出来なくなったのは確かで、この出来事から二週間後に、今度は僕の口から梓に別れを告げたのだ。
そもそも僕達が元の鞘に戻る事など初めから無理な事だったのかも知れない。互いが嫌ってる訳じゃなかったが、猜疑心が先立ち信頼し合う事が出来ないのだから。
その後の僕達は、学校内で顔を合わせても素知らぬフリをし続け、ぎこちないまま卒業を迎え、お互いの進路先を伝える事は無かった。お互いがお互い全てに置いて顔を背き合ったのだ。
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