きえない星空

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　激しく降り続ける冬の雨が頬をつたう涙を浚い流していく。僕はこの悲しみに溢れた世界の片隅で、傘を差さずにずぶ濡れになりながら、声を殺して泣いていた。

　激しく降り続ける雨が僕の心臓を叩きつける。まるで、僕の心とシンクロしたようだった。

　瞳の前を過ぎる輝かしい想い出達。こんな結末を迎えるのであれば、最初から出会わなかった方が良かった。こんなにも僕の胸を悲しみの色に塗りたくられたナイフで切り裂かれる事を知っていたのなら。

　激しく降りしきる雨に切り裂かれた僕の心は、必死に押さえ込んでいた感情が止められなくなり、僕は所構わず泣き荒れ叫んだのだ。

　気が付くと僕は走っていた。行く当てなどなかった。神様に見放されたこの世界を駆け回っても、キミはもう居ないのだから。

　それでも僕は止まる事無く駆け抜けた。大事なものを喪ったこの世界で生き抜くには、想い出を一つ一つ、わざと落として行かないと、この無慈悲な世界では立っていられなさそうだったから。

　どれだけ、脳に蓄えられた思い出を写真の様に燃やせたのなら良い事か。深夜を回って人通りが疎らになった踏み切りの前、傘を指した人が僕を物珍しそうに見詰める。僕の脚は降りて来る遮断機のせいで想いと裏腹に立ち止まさせられてしまったのだ。