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もう一度、君とあの星空を見たかった。美しく煌びやかに輝く満天の星空を。しかし君はもう居ない。誰にお願いしたって決して二度と叶わない僕の願いである。君と僕が二人で彩り織りなした季節は命の終焉と共に幕を閉じたのだから。
心を失った今、二人の思い出が詰まった部屋がまるで抜け殻の様だった。僕は壁にもたれ、今も動いている自分の心臓を握り、小さく零した。
「ねぇ、君は今も空から僕を優しく見守っているのかい。もし、夜空の隅から僕を見守っていてくれているなら、僕はこの凍てつく世界でも心臓を動かせられる」
僕の瞳から消える事なく、涙が次から次ぎへと零れ落ちていった。
涙で滲む瞳で球状のホームスターの電源を入れ、リビングの天井をイミテーションの星で埋め尽くしていった。
君が居た頃は良く二人で見ていた、手を伸ばせば届くイミテーションの星。でも君は僕の手では届かないほど遠くに有る星になってしまったのだ。
僕は君が居ない現実から目を背ける為、腕で視界を覆い隠し、誰にも気付かれない様に大きく息を吐きながら静かに涙を零していった。
真っ暗な闇に浮かぶ君の輝いた横顔。決して埃が被る事の無い想い出たち。僕は君との想い出を一つ一つ大切に拾い上げていった。
君との出会いから、待ち構えていた僕達の行く末まで全てを。
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