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煤けた都会の夜空は寂しい。その気になれば、数えられるぐらいの星しか輝いていないのだから。
いつの時代から都会では星が見えなくなったんだろう。まるで、星が地上に住処を移し替えたようだ。休むことを忘れたこの明る過ぎる地上からでは、ベガやアルタイル、デネブと言った夏の大三角形は見えたとしても天の川を実際にこの瞳で見た事は一度も無い。僕はこの暑い夏の夜空の下で、僕は溜め息を吐いた。
夜とは言え、このコンクリートジャグンルの東京では逃げ場を失った熱が蓄積され、決して冷める事はない。逆にアスファルトからの照り返しにより、やる気すら削がれる。
この温暖化の原因が文明による恩恵の副作用だと知っていても、やはり文明は恋しい。僕は少しでも体力を温存する為に、冷房がガンガン効いたハンバーガーショップで涼む事にしたのだ。
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