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春。
あたしの頬を切る風は暖かい。
春になるといつも見上げていた桜。
綺麗で儚く咲く桜を見上げるのが好きだった。
いつからか、見上げなくなった桜を…また見上げる春が来る。
その日は今とは違う自分になれているのだろうと思いながら…
あたしは今日も桜を見上げなかった。
あたし―真田 美緒―はこの物語の主人公である。
これといった趣味も誇れる特技も特になし。
少しみんなから半歩後ろに下がっている高校生…だとあたしは自分で思ってる。
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